一般職業紹介状況(令和7年7月分)とは
厚生労働省は、全国のハローワーク(公共職業安定所)における求人・求職・就職の状況を毎月集計し、有効求人倍率などの指標を「一般職業紹介状況」として公表しています。採用活動を行う企業にとって、この数値は労働市場の需給バランスを把握するうえで欠かせない基礎データです。
有効求人倍率とは、ハローワークに登録されている有効求人数を有効求職者数で割った値です。この数値が1倍を上回れば「求人数が求職者数より多い状態=企業にとっての売り手市場」を意味し、1倍を下回れば「求職者数が求人数より多い状態=求職者にとっての競争が激しい状態」を意味します。採用担当者や経営者がこの指標を定期的に確認することで、自社の採用計画を市場の実態に合わせて柔軟に見直すことができます。
以下では、令和7年7月分の公式データをもとに、全国と千葉県それぞれの状況をわかりやすく解説します。
令和7年7月の主要指標(全国)
① 有効求人倍率(季節調整値):1.22倍
全国の有効求人倍率は 1.22倍 となり、前月と同水準を維持しました。1倍を超えているということは、求職者1人に対して平均1.22件の求人が存在していることを意味します。
この水準が続いているという事実は、企業側にとって決して楽観できる状況ではありません。求人を出しても応募者が集まりにくく、採用活動が長期化するリスクが高い状態が続いているからです。採用競争が激しい売り手市場において、いかに自社の魅力を求職者に伝えるかが、採用成否を分ける最大のポイントになっています。
② 新規求人倍率(季節調整値):2.17倍
新規求人倍率は 2.17倍 となり、前月に比べて 0.01ポイント低下しました。わずかな低下ではあるものの、依然として2倍を大きく超える水準にあります。
新規求人倍率とは、当月に新たに受け付けた求人数を、当月に新たに登録した求職者数で割った値です。この数値が高いほど、企業が積極的に採用活動を展開していることを示します。2.17倍という水準は、新たに仕事を探し始めた求職者1人に対して、2件以上の新規求人が存在することを意味しており、採用市場の活況ぶりを端的に示しています。採用計画を立案・見直しする際には、有効求人倍率と併せてこの新規求人倍率の動向にも目を向けることが重要です。
③ 正社員有効求人倍率(季節調整値):1.02倍
正社員に限定した有効求人倍率は 1.02倍 で、前月と同水準でした。全体の有効求人倍率(1.22倍)と比べるとやや低いものの、1倍を超えていることから、正社員採用においても人材確保の難しさが続いていることがわかります。
パートタイムや派遣といった非正規雇用を含めた全体の倍率よりも低い水準であることは、正社員採用が相対的に絞られていることを示唆しています。しかしそれでも1倍超えを維持しているという事実は、即戦力・長期雇用を前提とした正社員採用が、企業にとって引き続き重要かつ困難な経営課題であることを示しています。採用要件の明確化や、自社の強みを打ち出した求人原稿の作成など、戦略的なアプローチが求められます。
④ 7月の新規求人(原数値):前年同月比 1.2%減
7月の新規求人数(原数値)は、前年同月比で 1.2%減 となりました。全体としてはわずかな減少ですが、産業別に見ると明確な差異が生じています。
増加した主な産業
- 教育・学習支援業
- 情報通信業
- サービス業(他に分類されないもの)
減少した主な産業
- 宿泊業・飲食サービス業
- 卸売業・小売業
- 生活関連サービス業・娯楽業
教育や情報通信といった知識集約型の分野では人材需要が高まっている一方、宿泊・飲食や小売といった対人サービス系の業種では求人数が減少しています。この傾向は、デジタル化や自動化の進展、消費行動の変化などを背景とした産業構造の変化を反映していると考えられます。
業種ごとに採用環境が大きく異なるため、自社が属する産業の動向を正確に把握したうえで採用戦略を立案することが、採用活動の効率化と成功率の向上につながります。「なんとなく求人を出す」のではなく、データに基づいた戦略的な採用活動が今まさに求められています。
令和7年7月の千葉県の状況

(※厚生労働省HP:「一般職業紹介状況(令和7年7月分)について」より引用)
有効求人倍率(季節調整値):1.25倍
千葉県の有効求人倍率は 1.25倍 となり、前月に比べて 0.02ポイント上昇しました。全国平均(1.22倍)を0.03ポイント上回っており、千葉県の労働市場は全国と比較してもやや採用競争が激しい状況にあることがわかります。
千葉県の労働市場の特徴
千葉県は首都圏に位置し、製造業・物流・医療・介護・サービス業など多様な産業が集積しています。成田国際空港を擁する国際物流の拠点としての機能や、幕張新都心・柏の葉キャンパスシティといった大規模な商業・ビジネスエリアの存在も、千葉県の産業多様性を支える要因のひとつです。
また、東京都へのアクセスの良さから人口の流入が続いており、住宅開発や商業施設の整備に伴う雇用創出も継続しています。こうした背景から、千葉県内では求人数が増加しやすい環境が整っている一方で、優秀な人材をめぐる企業間の競争も年々激化しています。
千葉県で採用活動を行う企業が直面する課題
有効求人倍率が全国平均を上回る千葉県では、求職者にとって「選べる求人が多い状態」が続いています。これは企業にとって、求人票を掲載するだけでは応募者を集めにくい環境であることを意味します。
具体的には、以下のような課題が多くの企業で顕在化しています。
- 応募数が少ない・集まらない:求人媒体に掲載しても反応が薄く、採用活動が長期化する
- 採用コストが膨らむ:複数の媒体に掲載を繰り返すことで費用対効果が低下する
- 内定辞退・早期離職が増える:自社の魅力が求職者に正確に伝わっていないため、入社後のミスマッチが起きやすい
- 採用ノウハウの不足:専任の採用担当者がいない中小企業では、戦略的な採用活動が難しい
こうした課題を解決するためには、求人票を出すだけでなく、自社の魅力を効果的に発信する採用戦略の構築が不可欠です。市場データを正確に読み解き、ターゲットとなる求職者像を明確にしたうえで、最適なチャネルと訴求内容を組み合わせる——そうした一貫した戦略設計こそが、千葉県の競争環境を勝ち抜く採用活動の鍵となります。
データの出典
本記事のデータは、厚生労働省が公表する下記の公式資料を参照しています。
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年7月分)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62187.html
まとめ
令和7年7月の有効求人倍率は、全国1.22倍・千葉県1.25倍という結果でした。いずれも1倍を超えており、求職者よりも求人数が多い売り手市場の状態が引き続き継続しています。正社員採用においても1.02倍と1倍超えを維持しており、企業が必要な人材を確保するためには他社との差別化を意識した採用活動が不可欠な時代といえます。
産業別では、教育・学習支援業や情報通信業で求人が増加する一方、宿泊業・飲食サービス業や卸売業・小売業では減少するなど、業種によって採用環境に明確な差が生じています。自社の業種や地域の市場動向を正確に把握し、それに即した採用戦略を立てることが、採用成功率を高めるうえで非常に重要です。
特に千葉県においては、全国平均をやや上回る1.25倍という水準で推移しており、地域の労働市場の実態を踏まえた採用戦略の立案が、採用成功のカギを握ります。求人票の掲載にとどまらず、自社ブランドの発信力を高め、求職者との接点を戦略的に設計することが、これからの採用活動には求められています。
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